近傍事例を用いた対話における感情認識
Published in 言語処理学会第29回年次大会発表論文集, 2023
Abstract
ソーシャルメディアでの感情分析や感情的かつ共感的な対話システムの構築を目的として対話における各発話の感情認識(EmotionRecognition in Conversations: ERC) が注目を集めている.ERCでは,発話の内容だけでなく,発話間の関係が話者の感情に大きな影響を与えることが知られている.従来手法の多くは,発話間の関係を抽出し,高い認識性能を達成した.このような手法は,単体で高い認識性能を示すことが多いが,性質の異なるモデルを組み合わせることでさらなる性能向上が期待できる.本研究は,単体で高い性能を発揮するモデルが出力する感情ラベルの確率分布と,性質の異なる別のモデルを用いて検索した近傍事例から作成した確率分布とを組み合わせる手法を提案する.評価実験において,提案手法はERCにおける3つのベンチマークデータセットのうち,2つのデータセットでベースモデル単体の認識率を上回る性能を達成した.また並べ替え検定において,提案手法はベースモデル単体に対して統計的に有意な結果を示した.
Recommended citation:
石渡太智, 美野秀弥, 後藤淳, 山田寛章, 徳永健伸. 近傍事例を用いた対話における感情認識. 言語処理学会第29回年次大会発表論文集, pp. 567-571, 2023年3月.